※この記事は、群馬県にあるMaa Studio Grayさんで炎撮影をすることを前提に書いています。
第3回目のこの記事では、炎撮影に際してコスプレイヤーさんが注意すべきポイントをまとめてみました。(カメラマンさんは次の記事で!)
当日だけでなく、準備段階から気を付けなければいけないことを紹介します。
衣装の素材
こだわりの衣装ほど使う素材を譲れないこともありますよね。分かります。
しかし、燃えてしまっては元も子もありません。
撮影に来ていく衣装は、なるべく燃えやすい素材(レース等の薄地の布)を避けたり、使う箇所を限定するとリスクが減ります。また、衣装の一部が長かったり、スカートのように裾が広がるタイプの衣装等も燃え移る危険が高いので、なるべく避けるか、炎に近づきすぎないようにすることが大切です。
もう一つ気を付けたいのが、合皮を使用した衣装。熱が伝わりやすく、また溶けて肌にくっついてしまうと火傷をして大変危険です。素肌での着用は避けましょう。目安としては、アイロンの「中」を当てて溶けない程度だと多少安心だと思います。
小道具の素材
衣装同様、小道具の素材にも注意が必要です。
小道具作りでは皆さん御用達のソフトボード(コスプレボード)ですが、ご存知の通り熱に弱いです。熱で曲げて加工したりするんだからそりゃそうですよね。
せっかく作ったのに、炎の熱でくにゃりと曲がってしまっては大変です。
ソフトボードを使った小道具を使用する際は、曲がり防止にきちんと芯材を入れるのがオススメです。
それから、うしおの経験談(失敗談)をご紹介します。。。
ソフトボードにG17ボンドを塗布し、合皮を張り付けて防具(たしかとうらぶの光忠だったはず)を作ったことがあったのですが、強めの勢いの炎で撮影した際に、熱に負けて合皮とソフトボードの間の空気が膨張し、防具の表面がボコボコになってしまったことがありました。
よほど強い熱にさらされなければ大丈夫だとは思いますが、そういうこともあるので、合皮を張り付ける際は、隙間なくしっかりと作ると悲劇は起こらないでしょう…。
- 燃えやすい素材を避ける
- 衣装の一部が長い、裾が広がる衣装はなるべく避ける・注意する
- 合皮を使った衣装は素肌での着用を避ける
- ソフトボードは熱に弱いので、使うなら芯材必須
- ボードに合皮等を張り付ける際はしっかりと接着して空気を入れない(当社比)
次に、撮影当日に気を付けるべきことを紹介します。特に大事だと思ったことを6つピックアップしました。
むやみに動かない
炎撮影はいつでもテンションがあがるものですが、初めての時はとかくドキドキするものです。
テンションがあがって(あるいはビビッて)大きく武器を振ったり、衣装を翻したりすると、火が衣装に燃え移る危険があります。まずは強い心でその場に留まり、確実な一枚のためにポージングに努めましょう。
慣れてきたら(あるいは火の位置が遠ければ)、動きながら撮影してひらみを追い求めるのも素敵です。
我慢しすぎない
とはいえ、熱いものは熱い。
我慢してポージングを続けた結果、火傷をしてしまっては元も子もありません。特に初めて撮影する時は、怖い!無理!と思った瞬間に素早く火から離れましょう。
何度か撮影して慣れてきたら、冷静に、怪我無く耐えられる熱さの境界線を判断していきましょう。
逃げ道を確保・確認する
正直、これが一番大事です。
時に、風向きが悪く、前からも後ろからも炎が自分に向かってくることがあります(そして割とある)。命の危険を感じたら、あらかじめ確保しておいた逃走経路を通り、速やかに離脱しましょう。
私は一度、火を焚きすぎたうえに風向きが悪くて前後を炎に阻まれ、一瞬火事で死ぬ気持ちが分かった(分かりたくなかった)ことがあります。幸い火傷もなく、ウィッグが少々焦げたくらいでしたが、一歩間違えば本当に事故を起こす危険があるということです。しっかり心に留めておいてください。
スタジオさんが今日まで営業できているのは、利用者の皆さん一人一人が細心の注意を払っているからだと思います。
機動力は高く
1個上にも関係してくるのですが、いざという時、動きにくい恰好・靴では大変危険です。見た目の忠実度も勿論大事ですが、ある程度機動力とのトレードオフを意識して衣装や靴を準備しましょう。
また、スタジオの入り口は数段ですがそこそこの勾配のある下り階段になっているため、本番用と移動用の靴を分けておくのもよいかもしれません。撮影が進むと灰や水で床が滑りやすくなってくるのでなおさらオススメします。
まずは弱火から
初めての人もそうでない人も、いきなり大火力で撮影に臨むのはとても危険です。最初のうちは、火の熱さをしっかりと認識し、その日の自分の体調・耐火力をよく見極めましょう。
私自身、1ショット目は控えめ炎からスタートすることが多いです。間違っても火に慣れてはいけません。
また、前述の通り、初出しの衣装が溶けたり、空気の膨張でぼこぼこにならないか判断するうえでも非常に重要です。
息を深く吸い過ぎない
撮影を続けていると実感すると思いますが、物が燃えている只中にいるため、煤や煙を少なからず吸い込んでいます。撮影中に深く息を吸ったり、呼吸が乱れるような激しい動きを伴うポージングはなるべく避けましょう。
そして定期的に外に出て新鮮な空気を吸い、息を整えてください。常に頭をクリアな状態にしましょう。
こまめな水分補給も忘れずに。
- むやみに動かない
- 我慢しすぎない
- 逃げ道を確保・確認する
- 機動力は高く
- まずは弱火から
- 息を深く吸い過ぎない
今回は、炎撮影でコスプレイヤーさんに気を付けてほしいポイントについてまとめました。
次回はカメラマンさんに気を付けてほしいポイントについて書いていきます。